【マーケニュース】34年ぶりにマーケティングの定義が変更|公益社団法人日本マーケティング協会
言葉の定義というのは時代に合わせて変わっていく。
普段、何気なく使っている言葉も実は意味が変わってましたなんてことがあるかもしれない。
今回はそんな言葉の定義に当サイトのメインテーマである「マーケティング」の定義が見直されたという話をしていこう。
参考文献:34年振りにマーケティングの定義を刷新(公益社団法人日本マーケティング協会)
マーケティングの定義が34年ぶりに刷新
マーケティングの定義について再考して、刷新したという話は2024年1月25日公益社団法人日本マーケティング協会より発表された。
公益社団法人日本マーケティング協会が定義付けていたこれまでのマーケティングの定義は以下のようになる。
マーケティングとは、企業および他の組織1)がグローバルな視野2)に立ち、顧客3)との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動4)である。
1)教育・医療・行政などの機関、団体などを含む。
2)国内外の社会、文化、自然環境の重視。
3)一般消費者、取引先、関係する機関・個人、および地域住民を含む。
4)組織の内外に向けて統合・調整されたリサーチ・製品・価格・プロモーション・流通、および顧客・環境関係などに係わる諸活動をいう。
従来の言い方をすれば「マーケティングはものが売れるための仕組みづくりのこと」を指している。
1990年に定義付けされてから以来34年間使われてきたため、多くの方はこのように学んだことだろう。
2024年版では上記の内容が以下のように変更された。
(マーケティングとは)顧客や社会と共に価値を創造し、その価値を広く浸透させることによって、ステークホルダーとの関係性を醸成し、より豊かで持続可能な社会を実現するための構想でありプロセスである。
注 1)主体は企業のみならず、個人や非営利組織等がなり得る。
注 2)関係性の醸成には、新たな価値創造のプロセスも含まれている。
注 3) 構想にはイニシアティブがイメージされており、戦略・仕組み・活動を含んでいる。
少しかみ砕いて話すと、マーケティングというのはこれまでは企業の購買活動に限定されてきたが、個人や非営利団体の情報発信やクリエイティブの領域も含めるということだ。
また、これまでは商品・サービス提供者と顧客という2方向のやり取りのことに限定されていたが、社会やステークホルダーといった多方面に広がったことになる。
今までは社会やステークホルダーとの関係構築はマーケティングではなく、PRというふうに語られていたが、新しい定義ではPRも含まれる格好となった。
マーケティングの定義変更の背景
近年のマーケティングの動向は、デジタル活動が活発化したことにより、個人での発信も増えてきたことが影響される。
これまでは企業側からの発信だったが、1億総クリエイティブ時代と呼ばれるようになって個人のマーケティング活動も本格化するようになった。
分かりやすいところでいえば、私のような個人サイトの発信者もマーケティングの一部に入るということだ。
いわゆる、個人のインフルエンサーといった人達は厳密にいえば、これまでのマーケティングの定義では外れていたことになる。
しかし、既に「インフルエンサーマーケティング」というような言葉があるように、これらの活動もマーケティングに含めるべきであるというふうに考えられたのが想像に難くない。
前述したが、これまでPR活動というのはマーケティングに含まれていなかったが、領域的に被ることが多く、多くの方が混同していた。
このような時代や市場における変化に合わせてマーケティングの定義を合わせたというのが今回の定義変更の背景だろう。
言葉は時代に合わせて変化する良い例だ。
公益社団法人日本マーケティング協会とは
いきなり、変更の内容を伝えてしまったが、この定義変更を行った団体(公益社団法人日本マーケティング協会)について少し触れておこうと思う。
日本マーケティング協会は、昭和32年に設立された公益社団法人であり、Japan Marketing Associationの略。通称「JMA」とも呼ばれる。
当時の味の素の社長である道面豊信氏を会長を筆頭に戦後の経済成長期に設立され、企業経営の近代化と産業の発展を目指している。
以下が主な活動内容となる。
活動内容 | 概要 |
---|---|
マーケティング検定 | マーケティングの能力を測定するための資格制度。基本概念や戦略に関する知識を問うものとなっている。 |
日本マーケティング大賞 | 成果のある施策や新ビジネスモデルを持つ企業を表彰。受賞事例はホームページで参照可。 |
教育研修 | 東京本部や全国で実施されるマーケティングスキル育成の研修。 |
イベントの開催 | フォーラムや展示会、セミナーなど多彩なイベントを主催。 |
情報発信 | 機関紙やテキスト、雑誌、書籍の発行。ホームページでマーケティング情報を無料提供。 |
営利を目的とせず、マーケティングの研究や教育を行い、500社近くの会員企業によって支えられている団体だ。
言葉の変化には敏感になるべし!
このニュースをピックアップしたのは何もサイトに関係があるからだけではない。
マーケティングにおける施策というのは基本的に言語情報からスタートすることが一般的だ。
例えば、何かしらのコンセプトを決める際にはキーフレーズを設定してから施策を考えていく。
マーケターにとって言葉の持つ力というのは非常に重要な要素となり得る。
常にこういった情報に敏感になっておいて損はないのだ。
ちなみに、SEO界隈ではよくGoogleの検索結果を大きく左右されるアップデートのことをコアアルゴリズムアップデートと言ったりするが、現在では厳密にいえばコアシステムアップデートというのが正しい。
Googleが公式でコアアルゴリズムという言い方ではなく、コアシステムと言うように定義変更を行っている。
こういったことが頻繁に起こるのが、今の時代であることを改めて認知しておくことをおすすめする。