【SEO中級】カニバリゼーション(カニバリ)とは?良し悪しの判別方法と対策を解説
SEOのコンサル時代にも自社でSEOを行っている時にもよく議題に上がるのが「カニバリゼーション(カニバリ)」だ。
Googleの公式見解としてもカニバリで評価を落とすと公表されている。
だがしかし、カニバリをちゃんと理解している人は意外と少ない。
例えば、検索結果1位、2位で表示できている場合、カニバリとして捉えるのだろうか?
結論からいえば、こういうケースはカニバリ対策をする必要はない。そんな、カニバリについて定義から見ていく。
SEOにおけるカニバリゼーションとは?
まずはSEOで言われるカニバリゼーションについて整理していこう。
ちなみに、カニバリズムは人肉を食べる人のことを指すので、間違っても言わないように。意外といるぞ。笑
SEOのカニバリの定義
SEOにおけるカニバリゼーションとは、複数のページが同じキーワードをターゲットとしているために、検索エンジンのランキングで互いに競合し、結果的にどちらのページも上位表示されにくくなる現象のことだ。
カニバリゼーションが起こると、WebサイトのSEO効果を低下させ、ユーザーエクスペリエンスを悪化させる可能性がある。
Googleもカニバリが発生している場合、評価を下げると公式に述べている。
カニバリが発生する理由
カニバリゼーションが発生する主な理由は、以下のとおりだ。
重複したコンテンツ
複数のページで同じような内容のコンテンツが掲載されている場合、検索エンジンはどちらのページを上位表示すべきか判断できず、結果的に両方のページのランキングが低下する。
ターゲットキーワードの重複
複数のページで同じキーワードをターゲットとしている場合、検索エンジンはどちらのページを上位表示すべきか判断できず、結果的に両方のページのランキングが低下する。
内部リンクの構造
内部リンクの構造が適切でない場合、検索エンジンはWebサイトの構造を理解できず、結果的に特定のページへのトラフィックが分散してしまう。
コンテンツの更新
以前は異なるキーワードをターゲットとしていたページを、新しいキーワードをターゲットとするように更新した場合、以前のキーワードとの競合し、カニバリゼーションが発生する可能性がある。
以上のように、検索エンジンが困惑してしまう状態を作ってしまうのが、カニバリゼーションを引き起こす基本原則となる。
SEO上でカニバリゼーションがもたらす影響
では、カニバリゼーションが起こると何が良くないのかについて整理していこう。
SEO効果の分散
カニバリゼーションが発生すると、複数のページが同じキーワードを競合するため、それぞれのページのSEO効果が分散されてしまう。
結果的に、どのページも上位表示されにくくなり、Webサイト全体のトラフィックが減少する可能性がある。
記事を適切に管理して、狙っているキーワードと記事が紐づかないで似たような記事を書いている場合はよく起こりやすい。
私が見てきたサイトの中には、なんで同じキーワードで3記事も書いているの?なんてことがあるぐらいだ。
クロールバジェットの浪費
検索エンジンは、Webサイトをクロールして、どのページをインデックスするかを判断している。
カニバリゼーションが発生すると、検索エンジンは重複したコンテンツをクロールするために、多くのクロールバジェット(クローラーの割り当て)を消費してしまう。
クロールバジェットは有限なリソースであるため、無駄に消費してしまうと、他の重要なページがクロールされなくなる可能性がある。
ユーザーエクスペリエンスの低下
カニバリゼーションが発生すると、ユーザーは検索結果で複数の同じようなページが表示されるため、検索結果上で、目的のページを見つけるのが難しくなる。
これは、ユーザーエクスペリエンスの低下につながり、Webサイトからの離脱率の上昇につながる可能性がある。
ここまでは一般的に言われていることだ。
カニバリゼーションを特定する方法
では、実際にカニバリゼーションが起こってしまった場合、どの記事とカニバっているのかを特定しなくてはならない。その方法をいくつか紹介する。
サーチコンソールを利用する
Google Search Console(GSC)は、WebサイトのSEOパフォーマンスを分析するためのツールだ。
SearchConsoleの「検索パフォーマンス」のレポートでは、ウェブサイトのページがどのキーワードでランキングされているかを確認できる。
例えば、同じキーワードで検索結果にヒットしているページをこのように見ることができる。ちなみに、以下はカニバリではない。
このように、検索パフォーマンスのレポートで、複数のページが同じキーワードでランキングされている場合、カニバリゼーションが発生している可能性がある。
専用ツールの活用
SEOツールの中には、カニバリゼーションを検出できるツールもある。
株式会社オロパスの提供している「Pascal」というツールはカニバリしている可能性があることを教えてくれる機能がついている。
Pascalについてはこちら⇒圧倒的に使いやすいSEOツール【パスカル】
これらのツールは、Webサイトのコンテンツを分析し、重複したキーワードやコンテンツを特定することができる。
手動でのチェック
手動でWebサイトのコンテンツをチェックすることも、カニバリゼーションを特定する有効な方法だ。
この際に、キーワードマップと、記事のURLはリンクさせて管理しておくと良い。
上記はこの記事のために簡単に作っているが、最低限このぐらいの管理は必要だ。
検索結果と施策している記事のURLが異なる検索結果となっている場合は、カニバリを疑うことができる。
キーワードカニバリゼーションを解消する方法
実際にカニバリが発生してしまった際にはどのように解消すれば良いのかいくつか方法を簡単に紹介する。
ページの統合と削除
カニバリゼーションが発生しているページが複数ある場合は、これらのページを統合したり、削除したりすることで、カニバリゼーションを解消することができる。
統合する場合は、最も関連性の高いコンテンツを1つのページにまとめ、他のページは削除するか、リダイレクトを設定する。
リダイレクト設定をしてから一時経って、評価が安定したら元の記事は削除して統合は完了だ。
キーワードの見直し
カニバリゼーションが発生しているページのキーワードを見直し、それぞれのページが異なるキーワードをターゲットとするように変更する。
例えば、複数のページが「SEO」というキーワードをターゲットとしている場合は、それぞれのページが「SEOツール」「SEO対策」「SEOコンサルタント」など、より具体的なキーワードをターゲットとするように変更するようにする。
この時に、同じ内容を何回も書いていないかなどはチェックしておいた方がいいだろう。よくあるのは、「そもそも○○とは」みたいな見出しを入れているケースだ。
「そもそも○○とは」みたいな見出しは本来書く必要はなく、分からない人がいそうな場合は内部リンクを設置してあげれば良い。
そもそもと見出しで書いている記事を見て、ムカつくのは私だけだろうか?普通にくどい。
canonicalタグの活用
canonicalタグは、複数のページが同じコンテンツを掲載している場合に、検索エンジンにどのページをオリジナルとして認識させるためのタグだ。
カニバリゼーションが発生しているページにcanonicalタグを設定することで、検索エンジンはどのページを優先的にインデックスすべきかを理解し、カニバリゼーションを解消することができる。
例えば、「○○とは」と「○○仕事内容」というのは、検索結果上では同じ意味を示すことが多いが、とはの場合求められているのはざっくり全体像。仕事内容の場合は詳しく書いて上げた方が親切だ。
こんな時は、「○○仕事内容」から「○○とは」に向けてcanonicalタグを設定してあげればよい。
わかりやすく言えば、Aがメインコンテンツ、Bはサブコンテンツだとクローラーに教えてあげる作業だ。
カニバリ対策の原則はプラスを作ることではなく、マイナスを作らないことが重要だ。
リライトと内部リンクの最適化
対策はなんとなくわかったと思うが、カニバリを適切に処理するための重要なポイントをいくつか紹介する。
コンテンツのリライト
カニバリゼーションが発生しているページのコンテンツをリライトし、それぞれのページが異なる内容になるように変更する。
当たり前だが、キーワードを変えたからと言って内容が変わっていないとほとんど意味をなさない。
- ターゲットを明確化して内容を修正する
- キーワードを変更して内容を修正する
- 記事の抽象度を高くして差別化を図る
以上の3つはリライトをする上で重要視しなければいけないポイントだ。これらの前提がなくてはまた同じような記事を作成するだけになる。
内部リンクの調整
内部リンクの構造を調整し、それぞれのページが適切なキーワードでリンクされるようにする。
例えば、特定のキーワードをターゲットとするページに、そのキーワードを含むアンカーテキストでリンクを設定すると良い。
SEO(検索エンジン最適化)とは、Webサイトの検索エンジンでの表示順位を向上させ、オーガニック(自然)検索結果からのトラフィックを増やすための戦略や技術の総称だ。
こんな感じにリンクを設定しておくと、クローラーが理解しやすい。地味にWikipediaのリンク設定は理に適っているというわけだ。
少し難しい話しになるが、カテゴリー構造やトピッククラスターなどの内部リンク構造も一緒に整えておくとなお良いだろう。
サイト構造がしっかりと作られていると、カニバリを起すようなコンテンツを作りにくいし、クローラビリティーが良い。
カニバリするのは良くないのか?
ここまでカニバリについてまとめてきたが、果たしてカニバリは本当に良くないのだろうか?
最初を思い出して欲しいのだが、カニバリは本来、評価割れを起こしているのが悪い状態だ。「検索結果に複数の記事が表示されてしまっているから」と判断していることが非常に多い。
検索意図が異なるならカニバっても良い
必ずしもカニバリゼーションは悪いものではない。(誤解を招きそうなので補足するが、カニバリっぽい状態のことを指す。)
例えば、「SEOツール」というキーワードをターゲットとするページが2つあり、1つは無料のSEOツールを紹介するページ、もう1つは有料のSEOツールを紹介するページである場合、ユーザーの検索意図はそれぞれ異なる。
法人が対象なら有料ツールの方が良い場合もあるし、個人のブロガーなどが対象なら無料ツールの方が良い。
想定する読者によって求める内容が異なるのだから、同じキーワードでも複数の記事が合って良い。重要なのは「差別化できているか」だ。
このような場合は、カニバリゼーションが発生しても、それぞれのページが異なるユーザーに価値を提供しているため、問題ない。
重要なのはサイトに必要な記事を必要なだけ書くということが前提だ。同じサイトで対象が2パターンあるなら書くべきだ。
検索結果を満たす回答が存在しないならカニバって良い
案外多いのが、「狙おうと思ったキーワード」が、「別のキーワードで施策した」既存の記事で検索結果上1位を取っているケースだ。
例えばだが、「Webマーケター ○○」というキーワードで施策した記事が「SNSマーケター ○○」というキーワードでも1位を獲得しているといったケースだ。
この時に、1位だからカニバリそうと思って施策を躊躇する人がいるが、当たり前だが、求めているものが違う。
このような状況の場合、検索結果に対する回答がまだ作られていないと判断すべきだ。
この時の判断軸は、自身で求めているものが違うと認識しても良いし、サーチコンソール上でCTRを確認しても良い。1位にも関わらず、ほとんどのケースでCTRが低くなっているはずだ。
ならば、作るべきではないだろうか?これを見落とすSEOプレーヤーは3流だ。
記事があまり作成されていない未開拓の領域であれば、このようなケースはたくさんある。むしろ、市場を取れるチャンスなのだから積極的に施策すべきだ。
結局、修正すべきは評価割れを起こしている場合だけ
まとめると、カニバリゼーションを修正すべきなのは、複数のページが同じキーワードをターゲットとしているために、それぞれのページのランキングが低下し、Webサイト全体のトラフィックが減少している場合しかない。
同じキーワードで複数の記事が上がってしまっているからカニバってしまっているではなく、記事同士が悪影響を与えていて上がっていかないからカニバっていると判断すべきなのだ。
状況を適切に分析せずに、言葉に踊らされて「対策しなきゃ」と思ってしまうのは、マーケターではなく、ただの作業者だ。
機械的に処理するのであれば、今後、あなたの立場はAIに奪われていくぞ。